研究課題/領域番号 |
09555197
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細野 秀雄 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (30157028)
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研究分担者 |
真田 和夫 (株)フジクラ, 光システム技術部, 部長(研究職)
西井 準治 通産省, 工業技術院・大阪工業技術研究所, 主任研究官
植田 尚之 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (00261123)
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キーワード | シリカガラス / 光感応性 / ド-ピング |
研究概要 |
本年度はイオン注入によるシリカガラスおよびSio_2:GeO_2ガラスの光感応性の増大の検討をおこなった。以下にその結果をまとめる。 (1)シリカガラスの10MeVのプロトンを照射することで、酸素のフレンケル欠陥(空孔+格子間原子)が電子励起効果で生成することを実証した。具体的には酸素空孔であるSi-Si結合を真空紫外光吸収、E‘中心をESRで、格子間酸素であるO_2分子をYAG:Ndレーザー励起の蛍光、パーオキシラジカルをESRでそれぞれ検出し、その各々について表面からの深さ方向の濃度を測定した。その結果、いずれも欠陥の濃度分布も電子励起のプロフィルと一致し、かつSi-Si結合+E'の濃度はO_2分子+パーオキシラジカルとほぼ同程度であった。よって、シリカで酸素のフレンケル欠陥が電子励起効果で生成することが初めて実証された。その効率は5x10^<-5>/eVと見積もられた。生成したこれらの欠陥は光照射で他の欠陥に転化するので、シリカガラスに光感応性を賦与するのに有効であることが示唆された。 (2)VAD法で作製したSiO_2:GeO_2ガラスにプロトンをイオン注入することにより、光反応性欠陥であるGe-Ge結合の濃度が数桁増大することがわかった。また、10^<18>cm^<-2>まで注入すると8nm程度の大きさのGeナノ結晶が室温で注入したままの状態で生成することが見出された。その生成の深さが電子励起によるエネルギー賦与が最大になる領域で、Heイオンの注入ではGeのクラスターも生成しない。これらの結果から、電子励起効果による格子間酸素の生成とそれにつづく格子間酸素と注入プロントとの化学反応がそのメカニズムであることが示唆された。
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