耐熱高分子基材料の微視的損傷発生・進展モデル化のための実験マイクロメカニクス

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09555198
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 武田 展雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10171646)
• 研究分担者: 荻原 慎二 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70266906)
• キーワード: 耐熱高分子 / 複合材料 / 微視損傷 / マイクロメカニクス / 損傷モデル

研究概要

本研究の目的は、繊維とマトリックスの相互作用や界面層挙動を含む微視的変形・破壊特性を求めるための定量的な実験評価手法(複合材料の実験マイクロメカニクスと呼ぶ)を提案し、現存、または開発中のいくつかの耐熱ポリイミド基繊維強化複合材料に適用することにより、新規複合材料開発のための手法として確立することにある。
1. 実験材料としては、標準材としての180℃硬化のエポキシ樹脂(TGDDM/DDS系)、およびビスマレイミド、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミドの3種類の耐熱ポリイミドを各々マトリックスとするカーボン繊維強化複合材料を用いて、変形・破壊プロセスの相違を調べる目的で、積層構成としては、基本的なクロスプライ積層板[0/90_4/0]に加え、実用的な疑似等方性積層板[45/0/-45/90/-45/0/45]を作製した。
2. 上記疑似等方性積層板についても、クロスフライ積層板での実験に基づいて得られたモデルを参考に、同様な実験を行った。すなわち、基礎となる応力-ひすみ関係を室温から高温にわたり求めた後、室温における負荷中のレプリカ写真観察を行い、(1)90ﾟ層内の初期マトリックスクラック発生、(2)マルティプルマトリックスクラック発生、(3)マトリックスクラック端部からの層間剥離発生、の各段階におけるミクロな変形・破壊プロセスを各負荷段階でその場観察を行った。さらに、軟X線透過写真測定を行い、その場観察結果との比較を行った。
3. 上記実験結果に基づいて、トランスバースクラックおよび層間剥離進展則を提案し、その有効性と物理的背景を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] N.Takeda,S.Kobayashi,S.Ogihara,A.Kobayashi: "Experimental Characterization of Microscopic Damage Progress in Quasi-Isotropic CFRP Laminates-Effect of Interlaminar-Thoughened Layers" Advanced Composite Materials. 7(2). 183-199 (1998)
• [文献書誌] N.Takeda,S.Ogihara,N.Nakata,A.Kobayashi: "Characterization of Microscopic Failure Process and Deformation in Glass/Nylon Composites by Micro-Grid Method" Composite Interfaces. 5(4). 305-321 (1998)
• [文献書誌] N.Takeda,S.Ogihara: "Micromechanical Characterrization of Local Deformation in Interlaminar-Toughened CFRP Laminates" Composites: Part A. 29A. 1545-1522 (1998)
• [文献書誌] S.Ogihara,N.Takeda,A.Kobayashi: "Transverse Cracking in CFRP Laminates with Interlaminar Resin Layers" Advanced Composites Materials. 7(4). 347-364 (1998)
• [文献書誌] 岡部 朋永、武田 展雄、今井 克広、小茂鳥 潤 他2名: "一方向SiC繊維強化耐熱がラス基複合材料における損傷進展過程" 日本機械学会論文集(A編). 64(627). 2931-2937 (1998)