研究概要 |
(a)カーボンコイルの合成:コイルサンプルの大量合成および、コイルの工業化を視野に入れ、種々の材質、形状、大きさの反応装置を試作して、装置条件・反応条件の検討および得られたコイルの特性評価を行った。(a)透明石英製外熱式反応管(内径60mm,長さ1,000mm)に原料ガス導入口(内径6-10mm、間隔:30mm)を最大16本取り付けて合成を行った。平均コイル収量は、20mg/cm^2、コイル収率は10%であった。インコネル製の円筒形(内径:16cm、長さ:1m、原料導入孔:内径1cm、10本)および大型短形(140x40x30cm^3、幅10mmのノズル)反応装置を試作して合成を行った。短形反応装置では、装置内に基板を10枚セットして、これをベルトコンベヤ-で移動しながら反応を行った。インコネル製反応管の場合、反応管内壁に多量の固形炭素が析出し、基板上へのコイル成長は非常に少なく、収率は0.5-1%であった。インコネル中の鉄分が固形炭素析出の触媒作用し、逆にコイル成長の負触媒作用をするためと考えられる。(b)マイクロコイル状およびマイクロチューブ状のTiCファイバーの合成:カーボンコイルをTiCl_4+H_2雰囲気中、700-1500℃で気相チタナイジング(拡散処理)したところ、そのコイル形態を完全に保持したまま、TiCファイバーが得られた。反応条件(反応温度、反応時間)を制御することにより、その表面の一部のみ、あるいは芯まで完全にTiC化したTiCマイクロコイルが得られた。非常に規則的に緻密に巻いたコイルを用いると、コイルどおしが完全に癒着してマイクロパイプ状TiCファイバーが得られた。
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