研究課題/領域番号 |
09555204
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小池 淳一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10261588)
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研究分担者 |
佐治 他三郎 富士電波工業(株), 研究開発部, 研究開発部長(研究職
田島 俊造 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (40136130)
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キーワード | 遠心成形 / マイクロ波焼成 / アルミナ / 強度 / 機械的性質 |
研究概要 |
高純度のアルミナ微細粒を高速遠心成形し、大気中で焼結することによって現在のところ0.5μmの粒径を持つ組織を得た。この多結晶材料の室温強度は焼結温度が1200°Cの時に1300MPaに及び、従来報告されているアルミナの約2倍の強度を得ることができた。この高強度の原因としては、ひとつには密度が非常に高く、相対密度が99.0%以上であり、微細な空孔が均一に分散しているため、クラックの起点になりがちな部分が存在しないこと。加えて、粒界エネルギーが低く、粒界におけるクラックの形成や進展が困難なことである。粒界エネルギーと室温強度の関係は、焼結条件を変化させた試料においても矛盾のない結果が得られた。例えば、焼結温度を1200°Cから1300°Cに上昇すると、相対密度は99.9%に増加したが、強度は1100MPaに減少した。このとき粒界エネルギーは粒成長の結果増加しており、粒界破壊が観察された。HIP材の方が強度が小さいのも同じ理由であった。 高速遠心成形後、焼結した材料は高温強度にも優れていることが明らかになった。試料の延性は1200°C以上で見られたが、遠心成形した材料は粒界のエネルギーが低いだけでなく、粒界に不純物相が存在しない。温度上昇に伴って粒界すべりによる変形は顕著になるが、高温における脆性は認められなかった。一方、通常の助剤を添加したアルミナやHIPしたアルミナの場合は粒界に不純物相が存在し、145O°C付近において粒界不純物相が軟化あるいは融解することによって極端に強度が減少することが判明した。以上のように9年度は遠心成形したアルミナの微細構造と機械的性質を、さらに詳細に研究した。10年度は最終年度であるため、マイクロ波焼成法による試料を作製し、機械的性質を明らかにするつもりである。
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