研究課題/領域番号 |
09555205
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00187981)
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研究分担者 |
荒木 悟 TDK(株), 開発研究所, 研究主任
宝野 和博 科学技術庁, 金属材料技術研究所, 主任研究官
藤森 啓安 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60005866)
三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20250813)
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キーワード | アモルファス基板 / エピタクシー / 磁性薄膜 / シ-ド層 / バッファ層 / 人工格子 / 単原子層積層制御 |
研究概要 |
本研究では、アモルファス基板上に、結晶配向性の制御された単結晶状のエピタクシャル膜を成長させる技術を開発し、それを実際に磁性薄膜材料の作製に応用することが目的である。我々はこれまでに、単結晶MgO(100)基板上にFeとAuとを1原子層ずつ交互に積層し、人工的にL1_0型FeAu規則合金を作製することに成功し、このFeAu規則合金は強い垂直磁気異方性を有し、特異な磁気光学効果を示すことを報告した。本研究では、この研究成果を生かして、特に単原子層積層制御によるFeAu規則合金の合成をアモルファス基板上でも試み、構造や磁気特性を単結晶基板上の場合と比較し、アモルファス基板上でも単結晶基板上と同等の磁気特性が現れる作製条件(シ-ド層、バッファ層の選択も含む)の探索を行う。本年度は、その予備実験として、Fe(xML)/Au(xML)人工格子(MLは1原子層厚の意)を、xを0.25間隔で1から4まで変化させてMgO(100)基板上に作製し、層厚(x)の制御がどこまで精密に行えるか、確認した。試料のX線回折の結果、xが整数の場合でも非整数の場合でも、x+x=2xMLの積層周期に対応する超格子ピークが観測され、このピーク位置はxとともに系統的に変化した。完全なlayer-by-layer growthを仮定したコヒーレント積層構造モデルによる計算と、実験結果との比較から、xは0.1MLの精度でよく制御されていることがわかった。また、磁気測定によって得られる垂直磁気異方性や膜面内4回対称磁気異方性は、xが整数の場合と非整数の場合とで明らかに振る舞いが異なり、xに対して1原子層厚の周期で振動する振る舞いを示す。このことは、xが整数の場合に比べ、非整数の場合の方が界面に原子レベルの凹凸が多いことを反映した結果と考えられ、言い換えれば、層厚の制御が、整数と非整数の場合とを明瞭に区別できる程度に成功していることを示している。
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