研究概要 |
Al合金は、軽量で高耐食性を有し、加工性が良い等の優れた特徴を持つことから広範囲で使用されている。最近では、環境保全や省エネルギーの観点から、それらのリサイクルが注目を集めている。サッシ等に使用されている6061Al合金およびブレ-ジングシートとして自動車等の熱交換器へ使用されている3003Al合金をリサイクルする際にはそれぞれFeやSiが混入し、諸性質に様々な悪影響を及ぼす。本研究では、6061Al合金には熱力学的にFeの除去に有効と考えられるMnおよびZrを、3003Al合金にはSiおよび熱力学的にSi除去に有効であると考えられるCaを添加し、これらの元素が組織および諸性質に及ぼす影響について調べた。Al合金溶湯からのFeの除去にはMnおよびZrの複合添加が、Siの除去にはCaの添加が有効である。6061Al合金ではMn添加量の増加に伴いAl_8(Cr,Mn,Fe)_2Si晶出物および粒状のAl-Cr-Mn-Si系析出物が増加する。それにより、析出硬化に寄与するマトリックス中のSi量が減少するため、時効硬化量が減少し、耐力および引張強さとも大きく低下する。引張特性へのZr添加量の影響は認められない。3003Al合金ではSi添加量の増加にともない3003Al合金中のAl_8(Fe,Mn)_2Si化合物が増加し、引張強さおよび0.2%耐力は大きくなるが、伸びは減少する。3003Al合金にCaを添加するとAl_8(Fe,Mn)_2Siが消失し、0.3%Caまでは微細なCaAl_2Si_2化合物およびAl-Ca-Cu-Si系化合物が、それ以上では粗大なAl_6(Fe,Mn)も晶出するようになる。その結果、Ca添加合金では0.3%Ca量までは伸びが大きくなるが、それ以上では伸びは減少する。なお、Si量0.55%、Ca量0.98%までの範囲内であれば成形性および耐食性への影響はほとんど認められない。
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