研究概要 |
高速超塑性特性の発現には結晶粒の超微細化が必須でありる.ECAP(Equal Channel Angular Pressing)法によれば材料の大きさは加工の前後で変わらず,酸化などの汚染もなく,孔のないバルク状態の超微細結晶粒材料が得られる.プロセスはきわめて単純で,適用できる材料に原理的に制約がなく,従来の材料特性を飛躍的に向上できる可能性がある.純Alについて歪の各段階での組織を電子顕微鏡で解析した結果,結晶粒の微細化は動的再結晶により起こること,せん断方向の組み合わせにより形成される組織が異なり,結晶粒の微細化には繰り返しせん断を三次元的に組み合わせることが最も有効であることが明らかとなった.純Al,Cu,Al-Mg,Al-Zn合金などについて調べた結果,微細粒は達成されたが粒界は準安定状態で,移動抑制粒子がないため容易に粒界移動を起こした.超塑性特性発現のための基本条件,すなわち,微細粒,固溶強化,組織の熱的安定性を考慮して組織設計を行った結果,673Kと473KでのECAPを組み合わせたAl-Mg-Li-Zr(1420)合金を623Kで引張変形すると,10^<-2>s^<-1>の歪速度で1100%を超える超塑性伸び,10^<-1>s^<-1>の早い歪速度でも900%の伸びが観測され,従来の超塑性特性が大幅に改善されいわゆる高速超塑性特性の達成に成功した.Al-Mg-Sc合金をECAP処理した結果,高速超塑性特性が発現し,ECAP法が高速超塑性特性の発現にきわめて有効であることが明らかとなった.
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