現在の材料工学では、機能材料、構造材料を問わず10nm以下の領域まで材料が微細構造化されている。また、機械工学の分野では今まで動機械は動かないとされていた10〜100nmの領域での機械部品や原動機の作製に関心が高まっている。本研究は、さらに微細化を極限まで進め、原子サイズの機械加工技術と加工機構の解析法を開発し、今後さらに微細構造化するであろう材料工学と機械工学の基礎を構築することを試みた。 実験では、まず、電子顕微鏡用の特殊変形試料ホルダーを開発した。これを用いて、金属及び半導体の変形とその過程を直接観察した。試料に用いた材料には、金、鉄などの金属や、シリコン、カーボンなどの半導体を選択した。本研究での解析手法の開発により、こうした材料の変形時の原子運動を、その場で直接観察し、解析することができるようになった。観察結果から、変形時の局所的な歪み、もしくはすべり、転位、積層欠陥、その他の格子欠陥の導入と運動を調べ、原子サイズ素材の変形特性と、その変形を担う機構を明らかにすることができた。
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