研究概要 |
本研究では,エキシマレーザ(波長308nmもしくは248nm)を用いて,これを紫外線光源として新しい方式の光造形技術を開発する。具体的には,従来の光造形では,連続発振のArイオンレーザ(351と364nm)やHe-Cdレーザ(325nm)等の1本の細いレーザビーム(直径約0.2mm)を光源として用い一筆書き描画を行っていたが,これをパルス発振であるが,大出力で太いレーザビーム(10mm×20mm)を用いる方式に改め,光造形の製作時間を飛躍的に短縮する。このため,大出力で太いレーザビームの有効活用技術やパルスレーザビームの新しい利用技術を研究開発する。 本年度は,既設のエキシマレーザと平成9年度に購入したZ軸テーブル等を組み合わせて,実際に光造形試験を行った。また,パルスレーザを光造形に実用化するには,樹脂の硬化時間とレーザパルス間隔時間との差による硬化歪みが大きな問題点となる。このため,本年度はデジタル遅延パルス発生器と高速電子シャッター付きCCDカメラを購入し,硬化に伴う歪みの発生を時間を追って詳細に測定した。また,将来開発を必要とする安価な光造形装置を検討するため,エキシマランプと紫外線用光ファイバー・対物レンズを組み合わせた一筆書き方式の造形装置についても簡単な原理実証装置を試作し,造形試験を行った。 その結果,硬化歪みの発生が硬化パターンや硬化順序に依存することは明らかとなったが,さらに詳しい検討が必要である。また,エキシマランプによる光造形は,十分可能性はあるものの効率を上げるにはランプ形状の最適化が必須であることも明らかとなった。次年度これらを引き続き検討する。
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