研究概要 |
本研究では,エキシマレーザ(波長308nmもしくは248nm)を用いて,これを紫外線光源として新しい方式の光造形技術を開発する。具体的には,従来の光造形では,連続発振のArイオンレーザ(351と364nm)やHe-Cdレーザ(325nm)等の1本の細いレーザビーム(直径約0.2mm)を光源として用い一筆書き描画を行っていたが,これをパルス発振であるが,大出力で太いレーザビーム(10mm×20mm)を用いる方式に改め,光造形の製作時間を飛躍的に短縮する。このため,大出力で太いレーザビームの有効活用技術やパルスレーザビームの新しい利用技術を研究開発する。さらに,安価な光造形装置を開発するための要素部品について検討する。 本年度は,将来開発を必要とする安価な光造形装置を開発するため,XeClエキシマランプ(波長308nm)と紫外線用光ファイバー・対物レンズおよびX-Yプロッターを組み合わせた方式の光造形装置について、原理実証装置を試作し,造形試験を行った。また,同じエキシマランプにN2ガスを封入することにより,N2レーザの発振を試み,これを使った光造形の可能性について検討した。 その結果,XeClエキシマランプによる光造形は,紫外線出力をファイバーに導光した場合,伝送効率が予想以上に悪く,紫外線硬化樹脂を硬化するまでに至らなかった。一方,N2レーザでは,十分な伝送出力が得られ,これを用いて簡単な光造形を行うことができた。 本研究はこれで終了するが,安価な光造形装置開発の可能性が明かとなったN2レーザについて,光造形装置としての最適化および低価格化等について検討する課題が残された。
|