チタン、チタン合金は軽量・強度が高いことや、形状記憶合金であるので眼鏡枠として近年さかんに用いられるようになった。しかし、加工性が悪く冷間加工はほとんどできなく、現在、切削加工にのみに成形を行っている。今回、材料の自抵抗を用いて発熱させ、加圧形成する加圧機を設計・製作した。そして、加圧後の機械的特性について調べた結果、次の結果が得られた。 (1)純チタンは冷間加工が可能であり、加工後の表面状態も熱を加えないので良好である。チタン合金(Ti-6Al-4V)は冷間加工ができなく、500〜600℃近辺の温度で延性が大きくなるので、熱間加工を必要とするが、いずれも変態点以下の温度で加工が可能である。しかし、表面状態が相当悪くなるので、研磨などが必要となる。特に眼鏡部分の場合、直径が場所によって異なるため、抵抗値の違いにより温度差が生じ、加熱むらの原因となることがわかった。今後、その対策を検討する必要がある。 (2)加熱しながら加圧して、機械的強度の時効効果について調べてみた。この結果、加圧当初、各温度での引っ張り強さはほぼ、100kgf/mm^2であったが、60分後には110kgf/mm^2程度に増加することがわかった。 以上の他、電気炉を用いる場合のように空気攪拌などを要しないことや、燃焼炉を用いる場合のように、材料を炎に当てることがないので、表面の焼けが少ないなどの利点があることがわかった。しかし、(1)長時間の高温による加熱ができないこと、(2)成形後わずかではあるがスブリングバックが観察されたこと、(3)表面の焼けは電気炉に比べて少ないが、製品として仕上げるには研磨など後工程が相当必要なことなど、今後の課題も多いことがわかった。
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