研究概要 |
1. 開発フィラに対する最適接合条件の検討 昨年度の研究で,鋳鉄と鋼を複合化するための低融点フィラとしてCu-25%Mn合金フィラが最も良好あることが判明した。本年度はCu-25%Mn合金フィラを用いて,最適接合条件を検討するため接合時間を変化させた実験を行い,1273Kの低温度でも接合時間を3ksにすると,それよりも110K高い1383Kの接合温度で0.6ks保持したときと同等の接合強度が得られることが判明した。 2. 低融点合金フィラの作製及び接合性の調査 1で述べたように,昨年度は低融点フィラとしてCu-25%Mn合金を開発した。ここでは,さらに優れた低融点フィラを開発するため,Cu-25%MnにFeまたはCrを添加した合金フィラ及びCu-43%AgにFeを添加した合金フィラを作製し,球状黒鉛鋳鉄を用いて鋼との接合性を調査した。その結果,Cu-25%MnにFeを1.4%添加した合金は優れた接合性を示し,Cu-25%Mn合金にFeを含有させることによって,より良好な低融点合金フィラ作製の可能性が示唆された。 3. 従来フィラを用いた接合条件の検討 Ag-28%Cu合金フィラ(BAg-8)を用いて球状黒鉛鋳鉄と鋼の接合実験を行った。接合温度をJISに規定されている温度よりも高い1173K以上にすると,いずれの場合も等温凝固により鋳鉄側から合金相が晶出し,接合温度の上昇とともに接合強度も増加した。しかし,Cu-25%Mn合金フィラを用いた場合と比較すると接合強度は低く,上記2で実施したCu-43%Ag合金フィラの結果も合わせて考えるとAg-Cu系合金フィラは接合強度の観点からCu-地合金フィラよりも接合性に劣る。
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