研究課題/領域番号 |
09555228
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研究機関 | (財)応用科学研究所 |
研究代表者 |
桑原 秀行 応用科学研究所, 第1研究室, 室長 (90132795)
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研究分担者 |
菊池 潮美 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70026326)
間崎 直子 応用科学研究所, 第1研究室, 研究員 (40280672)
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キーワード | 磁気抵抗 / コバルト分散相 / 積層 / 繰返し圧延 / 圧延銅箔 / コバルト電気メッキ / 面心立方格子コバルト / 圧延集合組織 |
研究概要 |
巨大磁気抵抗(以下、GMR)材料の作製法は、主としてスパッタリング法、イオンブレーティング法などの蒸着法がある。また、研究段階としては電祈法やメカニカルアロイング法の研究も行なわれている。本申請研究では、容易且つ、大面積の材料の作製を可能にするために、電気メッキ後の繰り返し圧延と熱処理の組み合わせによる種々の積層材料の6MR発現を研究した。ここでは、詳細に研究を進めたCu-Co系を代表例として以下に研究成果の概要を述べる。 厚さ9μmまたは16μmのCu箔の両面に6を約1.7〜50円になるように電気メッキした。これを10X45mm^2の大きさに切断し、同じ厚さと大きさの銅箔と交互に24枚〜400枚を重ねてH_2ガス気流中(H_2圧力:66.7Pa)で1173Kに14.4ks加熱して接合した。この接合は、試料をアルミナ板で挟み、MO線を巻き固定して行なった。接合後の試料の厚さは約220〜4500μmであった。このようにして準備した試料を焼鈍することなく圧延を繰返して約16μmの厚さにした。これを再び切断・積層・固相接合・繰返し圧延を行って、6層とCu層とで2000層〜4100万層にし、最終的な厚さを10〜60μmにした。その後に、これらの試料をH_2ガス気流中(H_2圧力:66.7Pa)で573〜873℃に3.6ks間加熱保持してから室温に冷却した。これらの試料を走査型電子顕微鏡(以下、SEM)を用いて組織観察し、室温又は液体窒素温度におけるMRを測定した。 その結果、Cu-Co二元系のMRが室温で約24%を得た。このような大きなMRが得られたのは、接合時にCu相中に固溶した一部のCo相と繰返し圧延中に強制固溶したの相が、時効処理によって析出しCu相中に微細分散して、磁性体であるCo粒子の間隔が小さくなって磁気抵抗が発現したと考えられた。 Coメッキ層の厚さが1.7μmの場合12at%Coとなり、2.5円では15at%Coとなった。いずれのCo濃度の試料も、時効処理後の断面組織はCoとCuとの層状組織であった。12at%Coの場合、MR比に及ぼす時効時間の影響は大きくないが、僅かな圧延率の差によってMR比は大きく変化した。殆どのl5at%CoのMR比は12at%Coよりも大きな値を示した。積層数によるの相の微細化には限界があり、適当な積層数と時効処理によって大きなMR比を得られた。
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