研究概要 |
本年度は、昨年度までに検討してきた実験の手法と理論的解析の両者をさらに発展させることで、微粒子製造装置の設計、スケールアップの指針を得ることを目的とした研究を行った。 実験的には、(1)気相法による微粒子製造を評価するために重要な原料の反応速度を実験的に求めるために、チタンの塩化物およびアルコキシドの液体原料から酸化チタン微粒子を製造するときの反応温度に対する生成粒子個数濃度の関係をエアロゾル測定手法で求めた。(2)微粒子の製造実験を前年度より引き続いて進め、反応装置の操作条件と製造された粒子の性状との関係を、種々の条件に対して実験的に明らかにした。(3)ナノデバイス材料として,最近注目されている、ナノメーターオーダーの金の超微粒子材料を気相法で製造し、粒子の性状に及ぼす製造条件の影響を実験的に明らかにした。またナノメーターオーダーの一次粒子で構成される金の凝集粒子の高温場での焼結による緻密化過程を実験的に検討した。 一方理論的には、昨年度までに構築した微粒子生成プロセスのダイナミクスを表現する2次元Discrete-Sectionalモデルに基づいた数値計算手法によって、微粒子のサイズ、形態を計算し、微粒子製造実験の結果と比較検討した。ここでは、上の(1)で行った生成粒手個数濃度の温度依存性の測定結果より反応速度を求める理論的手法を確立し、これにより求められた反応速度をシミュレーションに考慮した。その結果、種々の条件下で製造した微粒子のサイズ、形態をうまく予測できた。したがって、本研究で得られた微粒子製造のシミュレータが、製造装置の設計とスケールアップに有用な指針を与えられることがわがった。さらに、本研究で得られた凝集粒子の緻密化モデルより、これまで未知であった金凝集粒子の焼結特性も明らかにできた。
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