研究概要 |
SPCP(Surface corona discharge induced Plasma Chemical Process)法は,いわゆる沿面放電によるプラズマ場を,化学反応場として利用する方法である。本研究では,セラミックスフィルターと放電電極を組み合わせて,このフィルター表面で沿面放電を発生させるような反応器を構築した。これを用い,対象ガスとして,ディーゼルエンジンからの排気ガスを想定して,煤を含むブタンの不完全燃焼ガス,及び,一酸化窒素と二酸化窒素の標準ガスをモデル処理ガスとして処理試験を行った。排出されるガス中に含まれる粒子状汚染物質(煤)は,セラミックフィルターによって,捕集された。これにSPCP処理を加えると,煤はフィルター表面の沿面放電場で,酸化・除去され,ここで構築したハイブリッドシステムが機能することが確認された。他方,窒素酸化物は,この放電場で,還元・除去された。これらの反応は,一方が酸化反応で他方が還元反応であり,これらの負荷が同時に加えられた状態では,同時に処理が進行することが確認され,これらが,相補的に処理されることが示唆された。加えて,本装置を用いてトリクロロエチレンの分解処理への適用を試みた処,高効率で分解されることが確認できた。本システムでは,処理ガスが,フィルターを必ず通過して下流側へ至るので,フィルター表面に発生している沿面放電場と処理ガスの接触効率が高く,分解反応が効率良く進むことが示唆された。
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