研究課題/領域番号 |
09555234
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
久保田 徳昭 岩手大学, 工学部, 教授 (90003863)
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研究分担者 |
浜田 修 第一化学薬品(株), 岩手工場, 主任(研究開発担当)
増見 史生 第一化学薬品(株), 岩手工場・技術開発センター, センター長(研究開発
横田 政晶 岩手大学, 工学部, 助手 (60250635)
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キーワード | 装置設計 / 回分晶析 / 結晶粒度分布 / 晶析操作法 / カリミョウバン / 自然冷却 / 種晶添加 / 単分散 |
研究概要 |
回分晶析は少量他品種の製造に対応可能で、操作・運転上のフレキシビリティにも優れている。しかし、分離精製にとって重要な、結晶粒度の制御(最適運転)の方法は必ずしも確立されていない。本研究では、粒度制御を目的に、種晶添加の製品結晶粒度分布に及ぼす影響を大型および小型回分冷却晶析装置を用いて実験的に検討した。実験は、モデル化合物としてカリミョウバンを用いて行った。冷却法は、主として急冷法(自然冷却法)を採用したが、比較のために制御冷却法、直線冷却法についても実験を行った。 まず、小型装置(12リットル)による実験により、種晶添加量、初期溶液濃度の製品結晶粒度分布に対する影響を調べた。種晶添加量がある臨界値以上になると製品結晶粒度分布は単峰性になり、製品結晶は、種晶由来の結晶のみで構成されていた。製品結晶の収量を増大させるため溶液初期濃度を高くした実験を行ったところ、やはり臨界値以上の種晶添加量さえ確保すれば、単峰性の製品結晶が得られた。工業装置(容量600リットル)においても、同様な実験を行った。工業装置によって得られた製品結晶は、やはりある臨界値以上の種晶添加量において単峰性となることが確認された。 以上の実験の他に、製品結晶の単分散化の機構を調べる目的で、微結晶発生速度を測定した。その結果、微結晶の種晶への凝集、過飽和時間が少ないことによる微結晶発生数の減少が大きく寄与していることが明らかとなった。他の冷却法による結果を検討したところ、冷却法よりも種晶添加量が重要であることを実験的に明らかにした。 今後、本研究を発展させて回分晶析における粒度制御法の確立、装置設計法の確立を目指したい。
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