研究課題/領域番号 |
09555237
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
駒沢 勲 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40029476)
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研究分担者 |
野田 秀夫 関西化学機械製作(株), 取締役社長
佐藤 博 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (60283743)
平井 隆之 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (80208800)
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キーワード | 脱硫 / 軽油 / 光化学反応 / 液液抽出法 / 有機硫黄化合物 / ジベンソチオフェン / 光増感剤 |
研究概要 |
ジベンゾチオフェン(DBT)類は軽油留分中に多く含まれ、従来の水素化脱硫法では脱硫が困難であることが知られている。本研究では、軽油および軽油と混じり合わない溶媒により形成される液液二相系に光誘起酸化反応を導入し、軽油中のDBTを光反応させ抽出除去する深度脱硫プロセスについて検討した。 溶媒として水を用いた場合、光反応は軽油相中で進行するが、この反応はナフタレン等の二環芳香族により大きく阻害された。したがって、効率的な光反応を行うためには、DBTを軽油相より溶媒相に移動させ、溶媒相中で光反応させることが重要である。そのための溶媒として、DBTに対する抽出能、溶媒中でのDBTの光反応の進行のしやすさなどの点から、アセトニトリルが最適であることを見出した。 アセトニトリル中でDBTに光照射すると、DBTはDBTスルホキシドやスルホンなどの極性の高い化合物に変換され、これらは軽油相に再び戻ることはない。これにより軽油中のDBTは順次アセトニトリル相に移動して脱硫される。市販の軽油(硫黄分0.2wt%)とアセトニトリルを混合攪拌しながら光照射することにより、硫黄分は現行の規制値である0.05wt%以下まで容易に低減できた。また、水素化脱硫処理を行う前の直留軽油(硫黄分1.4wt%)にこの光脱硫法を適用した場合にも、やはり硫黄分0.05wt%以下の軽油が得られることが明らかとなった。 この光脱硫法をプロセス化する場合、DBTとともにアセトニトリル相に移動する芳香族分を回収できること、また溶媒を循環使用できることなどが要求される。軽油との分離性および循環使用における回収の簡便性などを考慮して共沸組成のアセトニトリル-水混合物を溶媒として用い、光反応後の溶媒からヘキサンを用いて芳香族分を抽出し軽油に戻す工程を付加したプロセスを構築した。このプロセスでは、溶媒はすべてクローズドで循環使用できることを示した。
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