研究概要 |
申請者たちが提案した全く新しいCDV成膜法「イオン化成膜法」を用いた微粒子発生を伴わない「無発塵CDV成膜装置」を実用化するため、TEOS/O_3減圧イオン化CVD成膜装置を試作し、その評価を行った。減圧場でのイオン発生法としてUV/励起光電子放出法を採用した。本法の心臓部である光電子放出材を探索するため、Zn,Al,Au等の金属、Pb-Sn等の合金、SiやTiO_2等の酸化物および半導体の塗布膜および薄膜について、圧力、UV波長を種々に変えて光電子放出量を測定した。何れの放出材も安定性に問題があったため、減圧場において比較的安定であった金薄膜を本実験で用いた。また、光電子放出の最適UV波長について検討したところ、波長200nm以下の領域に光電子に放出する波長が存在することが明らかになった。減圧CVD装置での粒子発生を評価するために、減圧場でのエアロゾル静電粒径測定装置を開発した。このLow Pressure Differenial Movility Analyzer/Faraday Cup Electrometer SystemをPSL粒子を用いて評価したところ、数十torrの圧力場において誤差30%以内で測定できることを確認した。これら装置を用いて、成膜および微粒子発生実験を行ったところ、(1)圧力300〜10torrで鏡面Si基板上に成膜したSiO_2膜の成長速度は、UV照射により1.2〜1.5倍速くなる、(2)300〜70torrでの粒子発生は、UV照射により20〜80%抑制される、ことがわかった。また、トレンチ構造を持つSi基板に形成した膜の断面SEM写真は、UV照射非照射に関わらず、コンフォーマル成長を示し、TEOS/O_3常圧CDVで見られたようなイオン化による膜の流動化は観察されなかった。また、熱酸化膜被覆Si基板上に形成した膜は、緻密で、常圧CDVで見られる下地依存性は観察されなかった。
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