研究課題/領域番号 |
09555248
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 秀夫 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (40015657)
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研究分担者 |
青柳 秀紀 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (00251025)
オボンナ・J・チュクマ 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (00261777)
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キーワード | 人工細胞壁 / 植物プロトプラスト / 微生物プロトプラスト / 有用物質生産 / アルギン酸 / ガラクチュロン酸 / 内在性エリシター / バイオリアクター |
研究概要 |
人工細胞壁の素材であるアルギン酸のエリシター機能を種々検討した結果、アルギン酸は様々な植物細胞の酵素やアルカロイドの生産を促進することが明らかになった。アルギン酸のエリシターとしての分類を試みた結果、アルギン酸は、ガラクチュロン酸と同様な生理活性を有しており、内在性エリシター様物質であることが明かとなった。また、アルギン酸が有するウロン酸特有のカルボキシル基がエリシター効果の発現に重要な役割を果たしていることが明かとなった。 従来、植物細胞壁近傍に蓄積するために生産量が微量で、大量生産が困難であった機能性物質の生産について、ぺルオキシダーゼ生産をモデルに検討した結果、人工細胞壁として物質移動能に優れたアガロースを植物プロトプラストに装着することにより、培養液中にぺルオキシダーゼを多量に生産することに成功した。また、人工細胞壁の物理的機能(骨格としてプロトプラストを保護する)に注目し、培地の浸透圧を低下させて培養した結果、プロトプラストを破壊することなく、ぺルオキシダーゼの生産量をさらに増大させることができた。 実用面での利用を考慮し、生存活性が高いプロトプラストに人工細胞壁(アルギン酸)を装着する新規な方法(細胞をアルギン酸ゲルで固定化した後に細胞壁溶解酵素を作用させる新規な固定化プロトプラスト作製する)を開発した。本法により、生存活性が高いアルギン酸固定化植物および微生物プロトプラストを短時間で簡便かつ大量に作製することが可能となった。本法を用いて、物質移動能に優れたアルギン酸ゲルを酵母プロトプラストに装着した結果、通常は、細胞壁と細胞膜に蓄積する高分子(分子量270,000)のインベルターゼを細胞外に大量生産することに成功した。以上の内容を論文あるいは口頭で発表した(研究発表参照)。
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