研究課題/領域番号 |
09555248
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 秀夫 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (40015657)
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研究分担者 |
青柳 秀紀 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (00251025)
オボンナ J チュクマ 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (00261777)
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キーワード | 人工細胞壁 / 植物プロトプラスト / 微生物プロトプラスト / 有用物質生産 / アルギン酸 / 細胞質合成阻害剤 / 活性酸素 / バイオリアクター |
研究概要 |
人工細胞壁を装着した微生物および植物プロトプラストによる有用物質生産システムの開発研究を行った((1)、(2)に記載)。また、平成9年度〜本年度に行われた本課題の総括を行った。 (1)微生物プロトプラストによる有用物質生産システムの開発 転化糖の製造に用いられるインベルターゼは、分子量が27万と大きいため酵母細胞の細胞膜と細胞壁の間に蓄積し、細胞外にはほとんど分泌されない。そのため生産現場では、煩雑な菌体の破砕処理が必要となる。本研究では、インベルターゼの工業生産に用いられている酵母細胞からプロトプラストを調製し、人工細胞壁として物質移動能に優れたアルギン酸ストロンチウムゲルを装着し、細胞壁合成阻害剤を培地に添加し、カラム型リアクターで培養した結果、72時間にわたりプロトプラストの状態が維持され、細胞外に大量のインベルターゼが分泌生産され、高速度生産に成功した。 (2)植物プロトプラストによる有用物質生産システムの開発 人工細胞壁としてエリシター機能を有するアルギン酸ゲルを装着したワサビプロトプラストを用い、抗菌酵素であるキチナーゼの生産を行う過程で、酸素を通気して培養するとキチナーゼの生産が相乗的に増大することを見出した。この現象のメカニズムを検討した結果、酸素通気により活性酸素種が発生すること、活性酸素種とアルギン酸が同時に存在するとキチナーゼの生産が相乗的に増大すること、が明らかとなった。煩雑な操作を伴う酸素通気の代わりに活性酸素種の一種であるH_2O_2を添加することにより同様な相乗効果が得られた。この知見に基づき、人工細胞壁としてアルギン酸ゲルを装着したワサビプロトプラストに過酸化水素を添加し培養した結果、細胞を用いた場合の数十倍の高速度、高濃度でキチナーゼを生産することに成功した。
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