研究課題/領域番号 |
09555256
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
崎山 高明 岡山大学, 工学部, 講師 (70170628)
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研究分担者 |
宇多川 隆 味の素(株), 生産技術部, 部長(研究職)
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
今村 維克 岡山大学, 工学部, 助手 (70294436)
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キーワード | 固定化酵素 / サーモライシン / 有機溶媒 / 熱安定性 / ペプチド合成反応 |
研究概要 |
有機溶媒中での酵素反応を実用化するための鍵は、酵素の反応特性と安定性をいかに良好な状態に保てるか否かという点にある。本研究では、ペプチド合成などへの応用が有望視されるプロテアーゼ、サーモライシンをモデル酵素としてとりあげ、サブミクロンオーダーの細孔径を有する種々の担体に固定化した場合の反応特性と安定性について検討した。反応系として、甘味料であるアスパルテ-ムの前駆体N-(benzyloxycarbonyl)-L-aspartyl-L-phenylalanine methyl ester(Z-AspPheOMe)を含むジペプチド前駆体の合成反応を検討の対象とした。まず、サーモライシンをAmberlite系樹脂や多孔性ガラス担体に吸着後、グルタルアルデヒドを用いた架橋処理によって固定化し、各々の熱安定性を種々の条件下で比較した。その結果、Amberlite XAD7を担体として用いた場合に最も多量に酵素が固定化され、しかも熱安定性が最も高いことが明らかになった。さらに、活性低下の初期過程が二次反応速度論に従うこと、活性低下の程度に応じて担体上に固定化されているタンパク質量も低下すること、等が明らかとなり、固定化酵素の失活が主としてサーモライシンの自己消化によることが示された。なお、この自己消化の程度は溶媒中の水分含量にも依存した。また、固定化酵素の基質特異性について検討を行うとともに、反応速度論的検討を行った結果、Z-AlaとPheOMeを基質とした場合に反応速度がZ-Alaの濃度に依存しないことが判明した。この現象の解析を行うため、固定化酵素内の微視的な酵素反応場(緩衝液)と反応溶媒との間の分配平衡を想定した速度論的な反応モデルを現在構築しつつある。反応場と溶媒の間の基質の分配特性に関しては、Z-Ala等のN-置換アミノ酸とPheOMeとの間にpHに依存して形成されるイオンペアが分配平衡に大きな影響を与えることを明らかにした。
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