研究概要 |
昨年度までに,除草剤アトラジンのモレキュラーインプリント人工レセプター合成のための条件検討が終わったので,今年度は以下の2項目について検討し,実際に本研究で開発したモレキュラーインプリント人工レセプターが実際環境から採取した試料の分析への適応を試みた。また,成果を平成12年12月に行われた環太平洋化学国際会議(ホノルル,米国)にて発表するとともに,国際論文誌Analytical ChemistryおよびJournal of Chromatography Aに公表した。 (1)ジブチルメラミンをダミーテンプレートに用いるモレキュラーインプリンティング法でトリアジン系除草剤のモレキュラーインプリント人工レセプターが大量合成可能なことを示した。 (2)人工レセプター洗浄後に残留するダミーテンプレート(アトラジンの類似化合物であるダミー分子)が,固相抽出後のどのように影響するか検討したところ,固相抽出の結果には全く影響を与えず,モレキュラーインプリント人工レセプターを用いる固相抽出法は極めて信頼性の高い方法であることがわかった。 (3)実際に河川水,および土壌から試料を採取し,モレキュラーインプリント人工レセプターを用いる固相抽出により選択的にトリアジン系除草剤が濃縮されるかどうか添加回収実験で検証したところ,0.01ppmの添加では約92%,0.1ppmの添加では,99%以上のトリアジン除草剤が回収され,モレキュラーインプリント人工レセプターを用いる固相抽出法の有用性が実証された。
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