研究概要 |
氷核活性細菌,Pseudomonas fluorescens KUIN-1が生産する菌体外氷核活性物質(EIM;Extracellular Ice-nucleating Matter)を精製した。このEIMの形は直径10-100nmの球状であった。このEIMの氷核活性ならびに氷核安定性は菌体内のものと同様であり,Ernwiniauredovora KUIN-3のEIMのような異なる構成成分を有するクラスA(-5.0℃),クラスB(-6-7℃)とクラスC(-7.5℃)が存在することが明らかとなった。EIMの組成はタンパク質が56%,脂質が15%,糖が10%とポリアミンが19%であった。ウエスタンブロッティングによるSDS-PAGE分析により,氷核タンパク質(INP;Ice-Nucleating Protein)の分子質量は110,000Daであった。脂質の脂肪酸組成は細胞内外膜のものと同様であり,糖はグルコース,ガラクトサミン,ラムノースなどで構成されていた。さらに,EIMの組成として,カダベリン,スペルミジンとプトレッシンが存在した。このEIMはワインや酢の凍結濃縮に非常に有用であった。 氷核活性細菌であるPseudomonas属からの初めてEIMの精製を行うことができ,さらにEIMの食品の凍結濃縮への応用の可能性を示した。
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