研究分担者 |
西埜 誠 島津製作所, 分析機器事業部, 主任
早川 慎二郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80222222)
合志 陽一 国立環境研, 副所長 (90111468)
足立 裕彦 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029105)
林 好一 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20283632)
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研究概要 |
二瓶ら(東大生研)は,光電子回折現象のために,単結晶から放出されるX線光電子の強度に,角度依存性がある事を見出し,この現象を応用して様々な表面構造の解析を行なっている.この方法は,1980年代になって回折電子波の角度異方性を直接電子波を参照して解析すると,結晶構造が像再生できることが分かり,光電子ホログラフィー法と呼ばれている.この方法を蛍光X線でもできないかという提案が合志(東大工)によってなされたが,こうした流れとはまったく独立に,ハンガリーの研究者が,蛍光X線ホログラフィーを実際に実現した(1996).我々も以前から準備を進めていたが,1997年末になって,ようやく,SrTiO_3にシンクロトロン放射光を入射させ,Sr蛍光X線強度の角度依存性を測定する事ができた.蛍光X線強度の角度依存性の実験データにはノイズが多く,数値的なスムージング処理がホログラム抽出には有効であることが分かった.Sr3d電子の光電子強度の角度依存性は,そのピークが結晶構造とよい対応がある.X線の波長と,光電子の波長とは違うし,X線と電子の散乱振幅も異なるので,パターンは一致しないが,蛍光X線ホログラムをフーリエ変換する事によって結晶構造解析が行なえた.このような蛍光X線ホログラフィーは,単結晶中にドープした微量元素の結晶中でのサイトの解析に役立つことが分かった.我々はGaAsウエハ中の0.02%Znの像再生にSPring-8で成功したが,この測定は,検出下限の点で現時点での世界記録である.
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