研究課題/領域番号 |
09555266
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 工学部, 教授 (10165657)
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研究分担者 |
片山 佳樹 九州大学, 工学部, 助教授 (70284528)
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キーワード | バイオセンサ / DNA / 遺伝子診断 / 遺伝子変異 / 遺伝子センサ / サイクリックボルタンメトリー / DNA結合タンパク / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究の目的は、DNA結合タンパクとDNAの相互作用を利用して遺伝子変異を検出できるバイオセンサを開発することである。検出には、いずれもアニオン性マーカー分子であるフェロシアン化物イオンの酸化還元電流のタンパク-DNA相互作用による変化を利用した。今年度は、昨年度検討した全身性エリテマトーデスの診断マーカー分子である抗DNA抗体を検出するシステムをIgMとIgGの2種類を用いることにより、更に詳細に検討してDNA結合タンパクとDNAの相互作用のセンサによる検出系を確立することができた。また、逆に抗DNA抗体を電極に固定しておいて、DNAを検出する系の検討も詳細に行った。この様にして、センサによるDNA-タンパク相互作用の基礎が確立した後、抗体の代わりにDNA配列認識タンパクを用いたシステムの検討を行った。DNA配列認識タンパクとしては、転写因子であるPIT-1を用いた。PIT-1は、2量化して、特異的な認識配列を有するDNAに結合する。検出においては、DNAを電極に固定しておき、PIT-1を添加する系を用いた。その結果、PIT-1の添加に伴い、電極応答電流が増大する現象が認められた。これが、PIT-1の正荷電によるアニオンマーカー分子の電極反応の促進にあるのかどうかは不明の点も残されているが、配列認識タンパクにおいても、抗DNA抗体の場合と同様に、センサによる計測が可能であることが分かった。さらに、別種の転写因子であるAP-1についても、発現ベクターへのcDNAの組み込みと、増幅を行った。これを発現させて得られるAP-1についても同様にセンサによる検出系が可能であることが予想され、遺伝子認識タンパクとDNAの相互検出系の基礎を確立することに成功した。
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