研究課題/領域番号 |
09555267
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (80154540)
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研究分担者 |
山森 伸二 日本光電工業(株), 開発部, 課長
志智 雄之 日産アーク(株), 研究部, 表面分析室長
久本 秀明 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00286642)
小池 康博 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60161840)
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キーワード | イオノフォア / イオン分析 / オプト-ドプローブ / 光学色素分子 / センサーデバイス / 微細化光ファイバー |
研究概要 |
1)高選択性イオン感応物質(新規イオノフォア分子)の設計と合成 本年度の研究では、新しいニュートラルアニオンイオノフォアを開発した。まず4級の有機Sn原子を配位子とした分子を設計・合成し、液膜型イオン選択性電極法で特性を評価した。4級の有機Sn原子は、安定な構造ながら空の3d軌道の存在により第5、第6配位子を取りうる可能性を持ち、また有機金属独特のLewis酸的性質を持つため、これらの性質がアニオンとの相互作用に関与すると考えられる。 フェロセンに1つのSn原子を導入した化合物はthiocyanate(SCN-)に対して、2つ導入した化合物はsalicylate、SCN-に対して、応答した。フェロセン同様、安定なメタロセンであるルテノセンにSnを導入した化合物では、このような応答感度はどのイオンに対しても得られなかった。これらのフェロセン誘導体は、新規アニオンイオノフォアとして合成できた。 2)高感度センサープローブ(オプト-ドプローブ)の設計と作製 イオノフォア合成と平行して、超微細化光ファイバープローブの作製を行った。コアにGeO2のドープされているシリカ光ファイバーを、NH4F-HF-H2O系緩衝溶液で化学エッチングし、先鋭化させた(クラッド径:50μm;コアの先端曲率半径:約3nm)。この先鋭化プローブに、スパッタリング装置で金薄膜をコーティングし、さらに適度な粘性を持つアクリル樹脂溶液にこのプローブを浸し、先端付近のファイバーの外側部分に樹脂を付着させた。これをKI-I2-H2O系緩衝溶液に浸すことにより、樹脂に覆われていないファイバー先端部の金薄膜がエッチングされ、最後に樹脂を有機溶媒で洗い落とすことにより超微細化光ファイバープローブが得られた。作製したプローブにAr^+レーザーの光を導入し、そのシグナルをフォトンカウンターによって検出したところ、溶液中微量の蛍光色素分子の有意な蛍光シグナルを得ることができた。よって、この微細化ファイバープローブで、溶液中のイオンセンシングを行える可能性があることがわかった。
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