研究課題/領域番号 |
09555269
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
村林 眞行 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (00010968)
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研究分担者 |
伊藤 公紀 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (40114376)
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キーワード | トリクロロエチレン / テトラクロロエチレン / 有機塩素化合物 / 光触媒 / 二酸化チタン / 曝気法 / ブラックライト / グラスファイバークロス |
研究概要 |
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等、水中の有機塩素化合物を水中での光触媒分解反応によって分解、無害化できることは、すでに確認されている。しかし、この方法を実際の水処理に適用し、実用化しようとした時、最大の難点は反応速度が遅いことである。しかしながら、大気中での光触媒反応は、水中での反応と比べ、格段に速く進むことが最近明らかにされてきた。そして、これら有機塩素化合物の多くは揮発性で、曝気法(空気を吹き込む方法)などにより比較的容易に水中から空気中へ移行させることが可能である。そこで、本研究では、これらの有機塩素化合物を、空気中で光触媒分解する方法について調べることとした。水中での光触媒反応に比べ、空気中での光触媒反応にはまだ不明な点が多い。今年度は次の点について成果を得た。 1)水中での光触媒反応では、光触媒の二酸化チタン表面に白金やパラジウムを担持すると、反応速度が増したが、空気中の光触媒反応について調べたところ、白金やパラジウムはかえって反応速度を低下させることが明らかになった。このことから、空気中と水中では反応の機構に大きな違いがあることが示唆された。 2)気相中での光触媒反応は、固体の光触媒の履歴に依存することが考えられる。とくに光触媒反応の直前に光触媒を紫外線で30分から1時間照射(前照射)することにより、光触媒の活性が著しく向上することが明らかになったので、この点について詳細に調べた。その結果、前照射により、光触媒表面の水分が除去されて光触媒活性が向上することが推定された。 3)曝気法では、反応器中の湿度が高くなる可能性があるので、気相中での光触媒反応に対する水分の影響について調べた。この際に、上記前照射の効果を考慮することで、実験結果を明解に説明することができた。 以上により、有機塩素化合物の気相光触媒分解法の基礎となる重要なデータが得られた。
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