各地で地下水汚染、土壌汚染を引き起こしているトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の有機塩素化合物を、二酸化チタンを用いた気相中光触媒反応を用いて分解、浄化するための処理システムを開発することを目的に、研究を進めた。バッチ式反応槽を用い基礎データを求めるための基礎的研究と連続式反応槽を用い実用化を目指した応用研究を実施した。 1.バッチ式反応槽を用いた実験では、以下の点が明らかになった。 1)反応に先立って光触媒に紫外線を照射(前照射)しておくとトリクロロエチレン(テトラクロロエチレン)の気相中光触媒反応が加速された。また、同じ光触媒を用いて反応を繰り返すと、初回の反応に比べ、2回目、3回目の反応は、さらに加速されることが明らかになった。 2)反応の(中間)生成物として、フォスゲン、ジクロロアセチルクロライドなどが検出された。上記繰り返し反応の加速は、これら生成物が塩素ラジカルによる連鎖反応を引き起こすことが原因になっていると考えられた。 3)バッチ式反応槽を用いた反応機構等に関する基礎研究の結果は、反応の条件は違うが、連続式反応槽による分解反応での有害な生成物の生成を防ぐ上での有効な情報を与えるものと考えられた。 2.連続式反応槽を用いた実験では、以下の点が明らかになった。 1)曝気法と気相中光触媒分解法を組み合わせることによって、実際にテトラクロロエチレンで汚染された地下水を連続的に浄化処理することに成功した。反応後の排気中に基準値以上の有害な化合物は検出されなかった。 2)連続式反応槽は5週間の連続運転に耐え、実用的処理システムの構築につながるものであることが実証された。
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