研究概要 |
これまでの研究から、メカニカルアロイングで作製したMg系水素吸蔵合金は常温でも充放電が可能であり、しかもグラファイトなどとの複合化により表面改質すると負極特性は大幅に向上することが明らかになった。本研究では、このように優れた負極特性の発現した原因やメカニズムを明らかにし、さらに高性能な合金の局所構造解析を行い、負極特性との関係について検討した。 分光学的測定の結果から,グラファイトの表面改質により,π電子を有するグラファイトからMgNi合金表面のMgに電荷移動が起こり,Mgと酸素の結合がより弱くなり,その結果,酸素とNiの結合がより強くなると考えられた。また,表面改質を行うと、MgNi合金表面における金属状NiのMgに対する組成比が増大することがわかった。これらの結果がMgNi-グラファイト複合体の水素吸蔵速度および負極特性の向上に大きく寄与していると考えられた。 Mg_2Ni合金をボールミルを用いて70wt%のNiで改質した試料についてジ-ベルツ装置を用いて水素吸蔵速度を評価したところ、30℃でさえ水素吸蔵速度は著しく増大し,水素吸蔵量も1時間以内でH/Mが約1.0に達した。また、この試料の充放電試験を行ったところ、放電容量はMg_2Niの単位重量あたり約870mAhg^<-1>という著しく高い値を示した。さらに、改質するNi量を増加させるとサイクル特性が向上することも明らかになった。
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