研究概要 |
本年度は、非晶質MgNiの負極特性を改善する目的として、構成元素の一部を異種元素で置換した多成分Mg系合金をメカニカルアロイング法により作製し、それらの電気化学特性を調べた。本研究により得られた知見を総括すると以下のようになる。 1.三成分Mg_<0.9>M_<0.1>Ni合金(M=Ti,V)は、MgNiに比べて初期放電容量はやや減少するものの、サイクル特性は飛躍的に向上することがわかった。さらに、その原因は、Mg_<0.9>Ti_<0.1>Ni合金では、合金表面に形成されたTi酸化物層のためであり、Mg_<0.9>V_<0.1>Ni合金では、合金内のV成分が優先的にアルカリ電解液へ酸化溶出するためであることが明らかになった。 2.四成分Mg_<0.9>Ti_xV_<0.1-x>Ni合金(x=0.04-0.07)では、TiおよびVの犠牲的な働きが相乗的に寄与するため、サイクル特性は三成分合金よりもさらに向上することが明らかになった。そして、初期放電容量およびサイクル特性の観点から、Mg_<0.9>Ti_<0.06>V_<0.04>Niが最適組成であることを見出した。 3.五成分Mg_<0.9>Ti_<0.06>V_<0.04>NiM_<0.05>合金(M=Al,Co,Cr,Cu,Fe,Mn,Ni)では、Alを添加した場合に初期放電容量、サイクル特性ともにわずかではあるが無添加の場合に比べて向上することが明らかになった。
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