層間化合物を始めとする機能性セラミックス系材料を液相法によって合成すると、以下のような準安定相の創製や、ナノ・メゾ多孔体など形態制御が可能となった。 1.ZnおよびInの硝酸塩混合水溶液にクエン酸をゲル化剤として加え濃縮したのちに350℃で焼成するクエン酸法によって、ZnOに対するIn^<3+>の均一固溶組成範囲が15%程度にまで広がり、透明導電性の高いことを見出した。 2.クエン酸をZrOCl_2とAlCl_3の混合水溶液に加えて得られた析出物を焼成して得た正方晶ジルコニアの微粉体では、アンモニア共沈法による生成物よりも粒径の揃ったZrO_2-Al_2O_3の均一な混合状態が得られた。 3.ゲル化剤を添加する代わりに、微小重力場中において金属塩化物または硝酸塩の混合水溶液を直接に凍結したのちに真空乾燥することによっても、均一混合状態を保ったままの原料塩の混合粉が得られ、高温加熱によって混合状態の良い酸化物に転換できる可能性を見出した。 4.ハイドロタルサイトゲルを多孔質アルミナ管の1μm以上の直径をもつ細孔中に担持でき、雰囲気中から可逆的にCO_2を吸収できることが判った。 5.アルキルアンモニウム系界面活性剤の有機分子集合体を鋳型とした合成、B_2O_3との混合物を溶融凝固後にB_2O_3を溶出する方法によって、WO_3およびV_2O_5をホストとするナノ・メゾ多孔性層間化合物が得られた。
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