1. 昨年度の研究により、層状構造を持つK_<0.75>Mn_<0.75>Ti_<1.25>O_4の誘導体が、新しい電池の正極活物質として有望であり、大きな放電容量(約150mAh/g)を示すことを明らかにした。 この電池は充電が不可能であったが、本年度は、K_<0.75>Mn_<0.75>Ti_<1.25>O_4の処理方法を変え、充放電可能な正極活物質を合成した。その電池の充放電特性について調べた。 2. K_<0.75>Mn_<0.75>Ti_<1.25>O_4の合成は、アナターゼ型二酸化チタンと過マンガン酸カリウムを用いて行った。1100℃、12時間の加熱後、大気中に急冷することにより試料を得た。電池の正極は、試料とアセチレンブラックおよびテフロン粉末を混合して作成した。電池の組立はドライボックス内で行い、負極にはリチウム箔、電解質には過塩素酸リチウムの炭酸プロピレン溶液を用いた。充放電電流密度は0.1mA/cm^2とした。 3. K_<0.75>Mn_<0.75>Ti_<1.25>O_4を硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液を用いて酸化することにより、試料中のMn^<3+>のうち60%がMn^<4+>に酸化された試料を得た。これをLiCl水溶液でイオン交換した試料の組成を見積もると、K_<0.75>Mn_<0.75>Ti_<1.25>O_4・1.2H_20であった。この試料は層間水を含むが、真空中150℃の加熱により除かれた。この試料を電極としてリチウム電池を組み、1.5-4.5V間で充放電の電位変化を調べたところ、約80mAh/gの容量を示した。また、10回程度の充放電では、約20%の容量の低下が認められた。 本研究により得られた試料は、新しいリチウム二次電池正極活物質として有用であると考えられる。
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