SiO_2・A_<12>O_3・B_2O_3・CaO・MgO・Li_2O組成系ガラスに呈色として金を0.022wc%添加し、赤、紫、青、茶・青2色性などの金コロイドによる発色が得られるガラス原料組成を明らかにした。見かけの表面色は濃い茶色で、透過光が濃い青色を示す特殊な光学特性の茶・青2色性ガラスは、52.5 SiO_2・13.3 Al_2O_3・17.4 B_2O_3・10.2 CaO・2.0 MgO・4.6 Li_2O(mol%)の原科組成からはじめ製造され、大量溶融試験により、41.5 SiO_2・23.5 Al(OH)_3・17.9 B_2O_3・10.4 CaC○_3・2.0 MgO・4.7 Li_2C○_3(mol%)組成へと改善された。茶・青2色性ガラスは半径50〜60nmの八面体形状の金の結晶粒子を有し、それらの粒子はクラスター状に凝集していた。その吸収(減衰)スペクトルをMieの理論により計算で求めた粒子半径が50〜60nmの場合の減衰スペクトルと比較すると、茶・青2色性ガラスは可視光の青色領域の光をよく透過し、赤色領域の光を強く減衰させた。茶・青2色性の特殊な呈色の原因は、八面体でクラスター状に凝集した50〜60nmの金粒子による赤色光の遮断と散乱にあると考えられ、また、金粒子どうしが接近してクラスター状に存在するため、コーヒーレントな散乱を生じている可能性が考えられた。 一方、赤色光透過性乳白オパールガラスは、55.0 SiO_2・7.0 Al_2O_3・17.5 B_2O_3・10.5 CaC○_3・2.0 MgO・0.7BaCO_3・0.5 NaBF_4・4.2 Na_2C○_3・2.6 K_2CO_3(mol%)の原料組成に、金を0.002gと錫0.02gとを添加して製造された。このガラスは、500nm以下の波長の光をかなり散乱して遮断し、650〜750nm領域の赤色光はよく透過させた。この赤色光領域の高い透過特性の原因の詳細については現在不明であるが、分相で生じる粒子(散乱する粒界)の密度、および、マトリックスガラスの屈折率と粒子の屈折率の差が関係しているものと考えられる。
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