研究概要 |
近年、我々はTi(O-i-Pr)_4と2等量のi-PrMgX(X=Cl,Br)の反応で得られる錯体η^2-propene)Ti(O-i-Pr)_2(1)が二価チタン反応剤として働き、オレフィンやアセチレンなどの不飽和炭化水素との反応でこれら炭素-炭素不飽和結合がチタンに配位した有機チタン化合物が得られること、そして生成した有機チタン化合物がそのまま、あるいは他の有機チタン化合物に分子内変換された後カルボアニオン種として作用する一連の反応を開発してきている。。 この反応剤を用いて達成できる反応は4つに大別される。ひとつはアセチレンとの反応でアセチレン-チタン錯体を生成させ、それを1,2-ビスメタロアルケンとして用いるもので、ふたつめは、アリルアルコール誘導体と1からアリルチタン反応剤を、そしてプロパルギルアルコール誘導体と1からアレニルチタン反応剤を直接合成し、アリル化剤およびプロパルギル化剤(場合によってはアレニル化剤)として、それぞれ利用するものである。三つめは、1を用いる不飽和エステル類の分子内求核アシル置換反応である。四つめは、ジエン、エンイン、およびジインの分子内カップリング反応であり、生成したチタン化合物の反応性を利用した環状化合物の新規合成法である。 これらの反応を利用して含窒素へテロ環化合物およびその前駆体の合成を行った結果、1)キノロン、ピロール、インドールの簡便合成、2)アミノ酸を原料とする光学活性含窒素化合物の合成、3)ピロール-2-オンの合成、4)光学活性ピペリジン、ピロリジンの合成、5)β-ラクタムの合成、6)α-ヒドラゾアルキンの合成、7)アミノ糖の合成、8)各種α-アミノカルボニル化合物の合成に成功した。
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