研究概要 |
抗血栓性および動脈循環の改善作用の有るプロスタサイクリンの安定化誘導体であるシクロペンタベンゾフラン骨格をめざし,有機金属反応剤と不斉修飾剤の組合せによって,その基本骨格を立体選択的に合成する手法を検討した。各種アミノアルコキシドリチウムを1等量用いたところ収率70%程度で74%鏡像体過剰率(%ee)を得た。さらにビナフトキシリチウム類を用いることで80%ee異常に到達する系をみいだした。また2等量必要でないことより反応の中間体と立体化学の生成過程を推測した。また,この生成物の絶体構造を明らかにするため,原料に100%光学純度アセトキシシクロペンテン誘導体を用いて,光延反応とパラジウム触媒の組合せより純粋なシクロペンタベンゾフランを得るルートを2〜3開拓することに成功した。また,クロマトグラフィーによる光学純度決定技術も確立することにより,より容易に分析できるシステムを構築した。有機金属反応剤としてマグネシウム塩を検討したが求核性が弱いので銅錯体を共存させたが成功しなかった。今後,添加金属塩を種々検討するとともに,立体選択性を有する求核的環化反応の一般化へと展開する予定である。さらに,ジアセトキシシクロペンテン化合物のメソ体を利用して不斉選択的なフェノキシ導入方法を検討を始めた。初期の結果では,収率60%で98%の光学収率を達成した。この転化率のさらなる向上を目指して,反応の条件検討を実施している。
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