研究課題/領域番号 |
09555292
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀江 一之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10013690)
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研究分担者 |
大澤 日佐雄 株式会社ニコン, 筑波研究所, 研究員
町田 真二郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20262032)
相田 卓三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00167769)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 光機能性分子素子 / 近接場走査光学顕微鏡 / 少数分子光化学 / 光反応誘起屈折率変化 / 光酸発生剤 / 感酸性色素 / 蛍光イメージング |
研究概要 |
分子一個が1ビットの情報を担う「光機能性分子素子」は、人類が到達しうる究極の超高密度メモリーであり、その実現は、次世代の情報産業を支える基礎科学におけるブレークスルーを意味する。しかし、単一分子の光化学反応を近接場走査光学顕微鏡(NSOM)を用いて観測しようとすると、観察の際に照射するプローブ光自体が光化学反応を引き起こしてしまう。本研究は、プローブ光による光化学反応を起こさずに、単一もしくは少数分子の光化学反応を NSOM で観察することが可能な材料系を以下のアプローチで探索し、有望な系を見いだしたものである。 1. 光反応前後において大きな屈折率変化を示す材料系 光化学反応前後で試料の屈折率が大きく変化すると、吸収のない波長領域の光を用いて光反応を検出できる可能性がある。そこで、光により二量化反応を行うポリ桂皮酸ビニル系について、また光により窒素脱離反応を起こすジアゾ基・アジド基などを含む化合物をポリマー中に分散し、その光反応前後の屈折率変化を測定した。その結果、2-diazo-1-indanone(2DI)およびβ-azidostyrene(β-AS)を用いた場合、10wt%程度ドープした試料で0.01近い大きな屈折率変化が得られた。 2. 光酸発生剤-感酸性色素系 光酸発生剤4-nitrobenzyl-9,10-dimethoxyanthracene-2-sulfonate(NAS)および感酸性色素Nile Blue A base(NBAb)をポリマー中に分散した試料を作成した。NASは、短波長の光励起により量子収率約0.5でプロトンを発生する。発生したプロトンはポリマー中を拡散して近傍の感酸性色素NBAbと反応し、カチオン型のNBA(NBA^+)を生ずる。色素NBAbおよびNBA^+は、それぞれ異なる吸収・発光波長をもつ。従って、3種類の照射波長を適宜選ぶことで、光化学反応とイメージングが可能になる。実際に、試料フィルムのNSOM観測を試みたところ、局所的な光酸発生およびNBAb・NBA^+両者のイメージングが可能であることが確認された。
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