研究課題/領域番号 |
09555294
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高井 光男 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50002019)
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研究分担者 |
柴 肇一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60241303)
惠良田 知樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30213581)
棟方 正信 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50261326)
田島 健次 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00271643)
藤原 政司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30229075)
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キーワード | 鮭皮コラーゲン / イカ甲キチン / 代用皮膚 / ヒト皮膚細胞 / 細胞接着・増殖 / DNAラベリングインデックス / 連続抄紙機 / 安全性試験 |
研究概要 |
水中離解した精製イカ甲キチンホモジネートから減圧下で均質なイカキチンシートを調製し、代用皮膚材料のベースとした。これにアテロ化した鮭皮コラーゲンをラミネートすることにより代用皮膚試料を調製し、ヒト真皮由来の細胞接着数及び増殖数の測定を行った。キチンシート単体に比べ、鮭皮コラーゲン、仔牛皮コラーゲンをラミネートした試料の接着数が明らかに多いことが確認された。また、増殖能は鮭皮コラーゲンをラミネートしたものは、細胞播種から8日後仔牛皮コラーゲンの1.3倍、イカキチン単体の1.5倍も増殖を活性化した。これは、鮭皮コラーゲンの変性温度が低いため、仔牛皮コラーゲンのような37℃の生理的条件下での線維化高次構造による細胞増殖の抑制が起こらないためと考えられる。増殖細胞のDNAラベリングインデックスを測定した結果、キチンシート単体、鮭皮コラーゲンおよび仔牛皮コラーゲンをラミネートした試料のいずれも正常ヒト真皮細胞のDNAラベリングインデックスと同様の値であることから、各試料上の皮膚細胞はガン化によって増殖が活性化されているのではなく正常な増殖である事を確認した。従って、鮭皮コラーゲンは、イカ甲キチンシートにラミネート(最適量0.1g/cm^2)することにより細胞接着力、増殖力に優れた高性能代用皮膚材料として利用できる。 更に、本研究では均質な代用皮膚を大量に製造する装置の開発も行った。平成3年度〜4年度科学研究費補助金(試験研究(B)(1))で試作した連続抄紙機を改良した。代用皮膚の通気性を向上させるための穿孔部分と温度制御可能な鮭皮ラミネート部分を具備した構成となっている。本抄紙機の性能は抄紙速度50cm/min,抄紙幅16cm,抄紙長30mで巻き取りボビンでの平均湿度は40%以下である。また、マウス、ラット、兎を使った安全性試験(急性毒性、発熱性、溶血性、皮内反応、移植、抗原性)はいずれも高い適合性を示した。
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