研究概要 |
申請者らが独立に開発した高耐熱導電性高分子を活用して、高エネルギー出力の高分子二次電池の構築と性能試験を目的とする。具体的には、次の3項目を今年度は推進した。 1) 機能分子のドーピング法の検討 抗酸化機能を持つドーパントはハロゲンイオン、ClO_4,BF_4などの一般的なドーパントに較べ分子サイズが大きいため、ドーピング効率が低い。ドーパント分子を充分に機能させるための高いドーピング率を達成するための条件をポーラロンバンドの吸収を追跡しながら整理、探索した。ハイドロキノン、ナフトキノンやアントラキノンのスルホン酸化合物をドーパントとして選択し、従来のドーパントに較べ拡散速度は小さいものの、95%以上のドープが可能であった。 2) 高分子二次電池の作製と評価 上記知見をもとに、2×3cmの白金上に導電性高分子を修飾した電極をカソードとして、アノードとして簡便な亜鉛電極を用い、電解質溶液に硫酸亜鉛を用いた簡易電池セルを作製した。定電流印加による充放電特性を評価。従来ドーパントのボリアニリンに較べ、大きなエネルギー密度を持つことを確認した。 3) 蓄電電子デバイス(キャパシタなど)の作製と性能評価 本研究課題より得た新しい導電性高分子キャパシターへ拡張し、タンタルコンデンサーの二酸化マンガンにかえポリビロールを利用したキャパシターデバイスを開発した。1000時間80℃以上性能劣化のない、しかも高周波数特性に優れた蓄電電子デバイスを得た。
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