研究課題/領域番号 |
09555298
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 健訓 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 教授 (40162961)
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研究分担者 |
沼尻 正晴 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (20189385)
沖 雄一 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (40204094)
三浦 太一 高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 助手 (80209717)
近藤 健次郎 高エネルギー加速器研究機構, 共通研究施設, 教授 (20004434)
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キーワード | 陽電子消滅 / 低速陽電子ビーム / 陽電子の寿命 / 短パルス化 / 高分子表面 / 自由体積 / ドップラー幅 / パルス化効率 |
研究概要 |
陽電子はナノメータプローブと呼ばれ、陽電子消滅法(Positron Annihilation;PA)は高分子構造のナノメータの大きさの自由体積を簡単な手法で検知出来る優れた手法である。しかし、これまでのPAは、NA-22の陽電子線源から放出される白色陽電子(エネルギーが0〜500keV、平均エネルギー210keV)を用いているため、高分子材料の平均的特性のみを解析してきた。高分子の表面付近の特性は内側とは異なっていることが予想されるが、この違いを非破壊的に検出する方法は、低速陽電子を用いた寿命測定法以外には無い。 低速陽電子を用いた寿命測定を行うためには、低速陽電子を一定の時間間隔で試料に入射し、このタイミングを利用して消滅γ線を測定する必要がある。現在は、電子線形加速器を用いた装置はあるが、高分子の解析に使えるような状況にはなっていない。本研究は、小さな規模の化学実験室で、簡単に行える発生装置を試作することを、目的としている。 昨年度は、低速陽電子ビーム装置の開発と80nsのパルス化に成功し、時間分解能1.8nsを得た。この分解能をさらに改善するため、今年度は、ビームラインの改造を行い、分解能を悪くする要因を除去することにつとめた。また、250Wの高出力アンプを導入し、低速陽電子の加速電圧を200V〜400Vのように広域でできるようにした。高出力アンプを用いることによって、モデレータ部の発熱等が問題になったが、熱除去の工夫をしてパルス化を行い、0.8nsの半値幅を達成することができた。これは40ns毎の周期で行っており、20nsの周期に行うと0.4nsとかなり幅が狭くすることが可能になる。さらに出力を上げることは困難であることが分かった。
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