平板上の空気摩擦力を非接触で精度よく測定できれば、層流から乱流への遷移の予測等が正確に行え、流れの安定性の研究の発展に大きく貢献できる。平板のみでなく、曲面上の空気摩擦力を測定できれば、航空機の翼面や胴体の摩擦抵抗を知ることができ、実用化の可能性が高くなる。 本方法は、物体表面に置いた薄いオイル膜が空気摩擦によって移動し、その厚さが変わることを利用し、オイル膜の厚さを測定することによって空気摩擦力を得る方法であり、当初、2本のレーザー光のオイル膜表面で反射するものとオイル膜を透過するものとの干渉を物体に固定した光ファイバで受けることを原理としており、非接触かつ直接的、高精度で空気摩擦力を測定する方法を指向していた。さらに、最近、これと原理を同じくする蛍光塗料を利用する方法も提案されているので、両者における結果の比較を行うこととしている。蛍光塗料を利用する方法は、シリコンオイル内に蛍光塗料を含ませ、その強度はオイル膜の厚さに比例することから、蛍光強度を測定すればオイル厚さがわかることを原理としている。 したがって、本年度は、先ず蛍光塗料を利用する方法に関する研究を行うこととし、次の段階でレーザーを用いる方法との比較を行うことを想定し、次の過程での研究を行った。 (1)その原理に関する理論的考察 (2)平板上ウェッジ・テスト 平板上に数μmの厚さの板をおき、その上と平板とに渡した透明な板でオイルのウェッジを作り、オイル厚さと蛍光強度の関係を調べる。 (3)風洞気流中で上記ウェッジテスト これによって、装置の構成が比較的簡単で調整も容易で、短時間、低コスト化が実現できることがわかった。
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