研究課題/領域番号 |
09555301
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田原 弘一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20207210)
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研究分担者 |
大前 伸夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029345)
田川 雅人 神戸大学, 工学部, 助教授 (10216806)
安井 利明 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (10263229)
節原 裕一 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (80236108)
三宅 正司 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40029286)
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キーワード | 宇宙環境 / シミュレーション実験 / 帯電 / プラズマ中和器 / イオンシース / 熱制御材料 / 宇宙材料 / カプトン |
研究概要 |
本年度の研究により得られた結果を以下にまとめる。 1)イオン衝突による宇宙用材料の劣化現象を調べるために、マイクロ波放電型イオン源を用いた実験システムを設計・試作した。イオンビ一ムのエネルギーは最大5keVであり、イオン種は酸素、窒素、アルゴンであった。イオンのドーズ量は地球低軌道・高度400km上で1年間の予想値までとした。 2)試作したイオンビーム照射装置を用いて、高分子フイルム(ポリイミド(カプトン、Upilex-S)、テフロンFEP)にイオンビームを照射した。 3)光電子分光分析法(XPS)により表面化学構造の変化を調ベた。イオンビームの照射前後でその場表面分析を行った結果、イオンビームの照射により照射イオン原子が付加し、結合の切断・脱離現象が激しく起こることがわかった。テフロンFEPの劣化(フッ素原子の脱離)が特に激しいことがわかった。 4)分光透過率の変化を調べた。イオンビームの照射後に分光透過率を測定した結果、透過率は悪くなり、特にそれは窒素イオンビームの照射において顕著てあった。また、それはイオンビームのドーズ量が大きくなるに従って悪くなっていった。宇宙飛翔体の熱制御が悪くなる可能性が予想された。 5)帯電特性の変化を調べた。イオンビームの照射後に負帯電特性を測定した結果、漏れ電流は電子ビームの照射時間と共に大きくなり、沿面放電の起こる周期はイオンドーズ量の増加と共に長くなっていった。電子ビーム照射による表面化学構造の変化は無視できるので、イオンビームによる表面物理状態の変化が帯電特性の変化をもたらしたと考えられた。
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