研究課題
波浪中における船体運動、波浪荷重など船体応答に関する理論的計算法は、模型試験による検証とともに、現在ではほぼ実用化され、大型外航船や新形式船については、より安全でかつ経済的な船の設計手段として用いられている。しかし、近海を航行区域とするいわゆる内航船については、その設計段階において、波浪中の運航性能について十分な検討がなされていないのが現状である。本研究においては、最新の船の耐航性能理論を用いて、従来余り適用されなかった内航船の運航性能の向上を図ることを目的としている。この目的のために、今年度は、NKK物流(株)所有の「翔陽丸」(長さ70m、総トン数497)を対象として、その運航性能に関する実態調査を行った。その主な項目は以下の通りである。1)内航貨物船「翔陽丸」のデータを建造会社である中谷造船(株)より入手し、船体要目や建造時の諸性能を調査した。現在、理論計算により船体形状と波浪中船体運動の関係を知るためのデータを整理準備している。2)内航貨物船「翔陽丸」の運航実態を調査するために、平成9年11月と平成10年2月に乗船し、運航者からの聞き取り調査ならびに船体運動などを姿勢計測装置を用いて計測した。現在、計測された、船速、プロペラ回転数、船体運動、動揺加速度などの解析を行っている。3)内航貨物船「翔陽丸」に乗船調査した日時、海域を中心として、海流、波浪情報の収集を行っている。今後は、これらを船体運動を関連させながら運航性能を評価する予定である。
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