研究概要 |
本年度は,以下のようなことを行い,成果のとりまとめを行った. 1.まず,昨年度までの研究で開発したストレインセルならびに水中貼付方法の問題点について検討した.これまでの方法では,水平方向の感度はほぼ良好であるものの,ボアホール軸方向の感度が理論値とかなりずれていたことが最も重要な問題であった.この原因を検討した結果,繰り粉排出のための窒素ガスボンベを開けるための押し棒用の黄銅製中空円筒がひずみゲージの貼付位置に近いために,円錐孔底に貼付されたストレインセルの自由な軸方向変形を拘束している結果,ボアホール軸方向に異常な感度が生じている可能性が考えられた.水中貼付装置は,清水中では良好な機能を示したが,泥水中では繰り粉の吹き上げが不十分であった.この点については,窒素ガスの吹き上げ時期を早めることで多少の改善がはかれるが,流出するガス量の制御は市販の小型ガスボンベをそのまま利用するだけでは不可能であることがわかった. 2.ストレインセル先端のボアホール軸方向中空円筒を剛性の低い塩化ビニル製に変更するために,ストレインセル用モールド装置を改良し,新しいストレインセルを作成した.昨年と同様にフラットジャッキ式三軸圧縮試験機を用いて,円錐孔底に貼付したストレインセルの感度試験を二軸載荷により行った結果,軸方向感度の大幅な改善が見られた. 3.遠隔操作を可能にする小型多チャンネルメモリについて,種々検討した結果,直径76mのボアホールの適合するメモリを選定した.ただし,小型アンプとの組み合わせたシステム構成は今後の課題として残された.
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