初年度に引き続いて、本年度は以下の研究を行った。 (1) 爆薬駆動高速負荷装置の試作開発 初年度に試作した装置の問題点を踏まえ、繰り返し使用可能な高速負荷装置の試作開発を行った。作用荷重の上限を高めるために、装薬室を水で満たす水注入方式にし、駆動部分を改良することによって、繰り返し使用できるようになった。装薬には瞬発電気雷管(6号)を使用した。 (2) 爆薬駆動高速負荷装置を使用した動的破壊実験 岩石供試体を使用する本実験のための基礎段階として、岩質材料であるモルタル及びコンクリート供試体を作製して動的破壊実験を行い、本装置の有効性を明らかにした。高速の作用荷重は購入した衝撃ロードセルで測定し、破壊現象は高速ビデオカメラで観察した。成果の一例として次のことが明らかになった。直径10cm、厚さ3cmの供試体を使用した圧裂試験では、ほぼ均質な岩質材料としてのモルタルの場合、き裂が上下の載荷点を結ぶ線上でほぼ、瞬間的に形成される。この時の作用荷重は静的強度で決まる荷重値の約3倍であった。今後の課題は載荷面の変位を測定することである。 (3) 装薬ホルダーを使用したき裂進展挙動の観察 考案した装薬ホルダーを本研究に使用して、直接引張負荷によるき裂進展挙動の高速度撮影を行った。これらの成果は国際会議で発表されている。
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