研究課題/領域番号 |
09556002
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 篤志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60023470)
|
研究分担者 |
中村 郁郎 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50207867)
中園 幹生 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70282697)
堤 伸浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00202185)
|
キーワード | イネ / アルデヒド脱水素酵素 / 稔性回復遺伝子 |
研究概要 |
ミトコンドリア型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)遺伝子は、トウモロコシにおいてT型細胞質雄性不稔系統の稔性回復遺伝子Rf2であることが知られている。花芽器官では好気呼吸に加えてエタノール発酵が活性化されており、葉や根などの器官と比べて、エタノール発酵の中間産物であるアセトアルデヒド量が多い。アセトアルデヒドはALDHによって毒性の低い酢酸に速やかに変換されるため、通常の花粉発育には影響がない。しかし、花粉形成期に低温にさらされると、イネの代謝効率が低下した結果、雄蕊内のアセトアルデヒドの蓄積量が増加し、最終的に花粉発育に障害が生じると予想される。そこで形質転換の技術で、アセトアルデヒドを酢酸に変換するALDH2の量・活性を増大させれば、アセトアルデヒドの量を減少させることができ、イネの障害型耐冷性を向上できると期待される。 本年度は、まずイネALDH2遺伝子のcDNAクローンの同定を行った。イネALDH2遺伝子の発現の器官特異性をノーザン法で調査した。その結果、トウモロコシなどと同様に花粉発育の盛んな幼穂で、ALDH2の発現量が多いことが明らかとなった。イネの障害型耐冷性を強化させるために、ALDH2acDNAをユビキチン遺伝子のプロモーターの下流に連結したイネ形質転換用のプラスミドを作製し、アグロバクテリウムEHA105株に導入し、最終的にイネ品種「日本晴」に形質転換した。現在、T1世代の植物を育成中である。今後、T_2世代の形質転換イネを用いて障害型耐冷性検定を行う予定である。
|