研究課題
基盤研究(B)
1.イネの生育・収量の高温・高CO_2濃度の反応の品種間差高温・高CO_2濃度に対するイネの生育・収量反応の予測モデルをより実態に即したものとするためには、世界各地で栽培される主要なイネ品種について、生育諸過程の高温・高CO_2濃度反応の品種間差を明らかにする必要がある。そこで、温度傾斜型CO_2処理装置(TGC)内でイネ8品種を栽培し、生育・収量に及ぼす温度とCO_2濃度の影響を調査した。高CO_2濃度処理(約2倍)による乾物生産の増加率は品種によって11〜32%の範囲で変動した。高温による不稔が生じない温度域では、高CO_2処理による収量の増加率は、乾物重のそれに比例的であったが、収穫指数の増加率にも品種間差が認められた(-10〜+10%)。イネは開花時の最高気温が約35℃を越すと不稔が生じるが、1品種を除いて、高CO_2処理によって、より低い温度で高温不稔が生じることがわかった。高CO_2処理による開花時刻の遅れは最大20分程度であったので、最も温度感受性が高まる開花時刻の温度条件の差異は、両CO_2濃度条件で比較的小さかった。したがって、高温不稔における温度とCO_2濃度の相互作用の主因は、CO_2濃度の上昇に伴う蒸散の抑制が引き起こす穎花温度の上昇と考えられた。今後、既存のデータ及びこれらのデータを用いて生育・収量反応予測モデルを開発するとともに、モデルの生理パラメータの品種間差を推定する予定である。2.高温・高CO_2濃度環境に対するオオムギの生育・収量反応のモデル化昨年度TGCを用いた二条オオムギの栽培実験より得られた、生育・収量の高温・高CO_2濃度反応に関するデータをもとに、温暖化気候のもとでの二条オオムギの乾物生長をシミュレートするモデルを開発した。来年度は、収量反応のモデル化を行う予定である。
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