研究課題/領域番号 |
09556008
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米森 敬三 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10111949)
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研究分担者 |
鉄村 琢哉 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00227498)
田尾 龍太郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10211997)
山田 昌彦 農林水産省果樹試験場, カキ・ブドウ支場, 研究室長(研究職)
佐藤 明彦 農林水産省果樹試験場, カキ・ブドウ支場, 研究員(研究職)
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キーワード | カキ / 脱渋性 / PCNA / 分子マーカー / RFLP / ゲノム構成 |
研究概要 |
優れた品質を持つPollinaton Constantの甘ガキ(PCNA)品種の育成に対する要望は世界的にも強い。しかし、結実までの長いライフサイクルが育種の障壁となっている。一方、PCNAの甘ガキは甘渋を制御する対立遺伝子が劣性ホモになった場合のみ出現し、その形質は質的に遺伝するため、DNA分析により、早期甘ガキ選抜のための分子マーカーを作出できる可能性がある。昨年度までにAFLP分析から同定したマーカーをプローブとしたRFLP分析を行うことで、交雑個体の甘渋性を判別できる可能性が示唆された。そこで本年度はこのRFLPマーカーの有効性を検討するとともに、カキのゲノム構成を考察することを目的として以下の実験を行った。 1.我が国既存のPCNA12品種とnon-PCNA20品種の計32品種を用い、昨年度確立したAFLPマーカーをプローブとして用いた場合のRFLP分析が既存品種の甘渋性判定にも有効であるかどうかを調査した。その結果、昨年度の交雑個体を用いた実験同様、PCNA12品種はすべて同一のバンディングパターンを示し、渋味の発現に連鎖する優性RFLPマーカーを持たなかったが、non-PCNA20品種はいずれの品種も少なくとも1つの優性マーカーを持っており、PCNA品種とnon-PCNA品種は明らかに判別することができた。この結果はRFLP法による甘渋識別が特定の交雑組み合わせから生じた実生群だけでなく、より広い範囲で有効であることを示した。 2.渋ガキ品種'西村早生'あるいは'会津不身知'にConstantの甘ガキを交雑したF1個体をConstantの甘ガキに戻し交雑し、得られたそれぞれのF2(BC1)実生40および16個体からDNAを抽出し、同様の方法でRFLP分析を行い、それぞれの交雑集団内でのマーカーの分離比を調査することで6倍体であるカキのゲノム構成を考察した。その結果、このマーカーがpolysomicな遺伝をしていることが示唆され、カキゲノムは少なくともその1部で同質染色体から構成されている可能性が示された。この事実はカキのゲノム構成に新たな知見を与えるものであった。
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