研究課題
基盤研究(B)
優れた品質を持つPollinaton Constantの甘ガキ(PCNA)品種の育成に対する要望は世界的にも強い。しかし、カキは結実までのライフサイクルが長く、また、PCNAの甘ガキは甘渋を制御する対立遺伝子が劣性ホモになった場合にのみ出現するため、交雑集団での出現頻度が低い。そこで、PCNA品種の育種を画期的に進展させるため、早期甘ガキ選抜の分子マーカー作出を目的として以下の実験を行った。1.Constantの甘ガキ系統に渋ガキ品種を交配したF1個体をConstantの甘ガキに戻し交雑することによって得られたF2(BC1)16個体からDNAを抽出し、Constantの甘ガキ6個体およびnon-PCNA10個体をそれぞれバルク化した後、AFLP分析によりnon-PCNAのバルクにおいてのみ出現するマーカーをスクリーニングし、4つのAFLPマーカーを見いだした。2.前述の4つのAFLPマーカーのうち、もっとも有効であると思われたマーカーの塩基配列を決定した後、このAFLPマーカーをプローブとして、交雑個体のDNAをHindIIIで消化した後のサザン分析を行ったところ、non-PCNA個体に特有な6.5kbと8.0kbの2つのRFLPマーカーにより、PCNA個体とnon-PCNA個体を100%識別可能であることがわかった。また、交雑集団内でのマーカーの分離比から、このマーカーがpolysomicな遺伝をしていることが示唆され、カキゲノムは少なくともその1部で同質染色体から構成されている可能性が示された。3.我が国既存のPCNA12品種とnon-PCNA20品種の計32品種を用い、前述のRFLP分析が既存品種の甘渋性判定にも有効であるかどうかを調査したところ、RFLPマーカーにより、PCNA品種とnon-PCNA品種を判別することが可能であり、前述のRFLP法による甘渋識別が広い範囲で有効であることを示した。4.最後に、前述のRFLPマーカーを応用したPCR法による簡易甘渋判別法の構築を目指したが、8.0kbのマーカーはその塩基配列をほぼ決定することが出来、プライマーを作成することが出来たが、6.5kbのマーカーについては、塩基配列を決定することが出来ず、この点今後の研究課題として残った。
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