研究概要 |
無気門亜目のコナダニ類は種それぞれに特有の成分を,後胴体部腺分泌物として分泌している。ゴミコナダニの1種Caloglyphus polyphyllaeの特異成分であるヘプタデカトリエンの構造をヒドラジン半還元法とDMDS化物のGC/MS分析により決定し,合成によりZ,Z-1,6,9-ヘプタデカトリエンと同定した。またミズコナダニ属の1種から,分子量166の特異成分をGC/MSで検出していたが,その開裂イオンを解釈して,新規モノテルペンラクトンを推定し,合成により同定した。新規成分であり,α-アカリジアールとの関連性からα-アカリオライドと命名した。コナダニ類で見つかりα-アカリジアールと命名している成分がアトピー性皮膚炎患者に,顕著な皮膚反応を示すことが判明している。結果として同様の部分構造をもつことが判った化合物がヒョウヒダニ2種に共通して存在するが,従来単離できずその化学構造を決定できなかった。本研究で整備したGC/FT-IRにより,精製せずにそのIRスペクトルの測定に成功し,推定構造を提出でき,合成により同定できた。現在アトピー性皮膚炎との関連で,その活性の調査を依頼している。本年度より本研究の一環として,現在維持しているコナダニのDNA分析を開始した。GCプロフィールを補完する有益な情報が得られつつあり,その集積を期待している。 なお研究データの蓄積とともに,コナダニの形態を併せて記録する必要を感じ,実態顕微鏡と接続したCCDカメラを新しく整備した。
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