研究概要 |
1. 酢酸菌をNTGを用いた変異処理を行い、酢酸感受性株の取得を試みた。その結果、酢酸培地で生育できない酢酸感受性株を2株(AS101,AS102)取得し、これらの変異株を用いたショットガンクローニングの結果、酢酸他姓を回復させる遺伝子(2.2kp、6.6kp)をそれぞれ得た。これら遺伝子についてシークエンスをを行った結果、6.6kp断片ではSecE、 SecF、MscL、OmpR、EnvZ geneの5つの遺伝子をコードしていた。このうち、SecF,OmpR geneがAS102株の酢酸耐性を回復させる活性を持っていた。また2.2kp断片では、OmpR homologがコードされており、AS101株の酢酸耐性は回復させたが、AS102株では回復活性は示さなかった。 2. 酢酸菌培養時にエタノールや酢酸を添加し、これによって誘導される蛋白質の解析を行った。培地中に3%のエタノール、1%の酢酸を添加した場合、それぞれ7種類、5種類の蛋白質の合成が増幅されていた。これらの蛋白質についてN末端アミノ酸配列を決定し、この情報を元にこれら蛋白質の遺伝子のクローニングを行った。その結果酢酸添加の場合、細胞質画分で増幅される蛋白質はaconitaseとisocitrate dehydrogenaseの2種類であり、いずれもTCA回路関与の蛋白質であった。このうちaconitaseについて遺伝子のクローニングは終了し、現在この遺伝子の過剰発現による酢酸耐性の変化について検討を行っている。また、isocitrate dehydrogenaseは現在クローニング中である。細胞膜画分で増幅される蛋白質は、N末端アミノ酸配列から既知蛋白質とは同定されておらず、現在これら蛋白質の遺伝子のクローニングを行っている。
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